一人の理容師の人生を語った「自分史」です。「ヘアーサロン加納」

初めての従業員

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初めての従業員

 清水美子さんと別れる半年位前に、優兄のお店に少し理容の経験があるという十七歳の女の子が叔父さんに連れられて面接に来ました。見た目には割と可愛らしく大人しそうな女の子でしたので採用する事にしました。

 ところがこの子が見かけによらずとんでもない子でした。採用して三日目、お店が休日になったので私たちはいつも行っていた秀兄貴夫婦が住んでいた桑園の製麺工場に手伝いに行くことにしましたが、その娘だけ残していくのは可哀想だと思い、一緒に連れて行くことにしたのです。

 其処でも皆に「可愛い子だね」と云われ喜んで居りました。その日は、私が何時ものように彼女とダンスをしに行く約束の日でしたので「僕は先に家に帰るから」と言って製麺工場をあとにしようとした所、その娘も「私も一緒に帰る」と言い出しました。

 私は「彼女とデートをするのに帰るので家ではストーブを消して来ているので寒いし又、寂しいと思うので兄貴達と一緒に帰りなさい」と言ったのですが、頑として「私も一緒に帰る」と言って聞かないので仕方がないのでつれて帰りました。

 家に着いて、案の序寒かったので一応ストーブに火を点けてあげて彼女がやってきたので、いつものようにお店で少しダンスの練習をして時間が来たので「行ってくるけど大丈夫かい?寒いようなら寝ててもいいから」と声を掛け出かけました。

 処が次の日、その娘の自衛隊に勤めていると言う兄貴が来て「何も聞かず今日で辞めさせていただきたい」というでは有りませんか・・・・。此方としては寝耳に水、唖然として「何も聞かずでは納得できませんし此れから人を使って行く為にも是非参考にしたいので教えていただきたい」と申しました所「其れでは申します。

 先ず此方の主人がいやらしい目で私を眺めちょっかいを出してくる。おまけに歯も磨かしてくれず、顔を洗わしてくれず、髪も解かさせてくれないと妹が言っている。」と言うのです。驚きで空いた口も塞がらない状態でしたが私達のお店を辞めたい一心で吐いた嘘の言葉だったのだろうと思い、怒こる気にもなりませんでした、「我々の商売では綺麗な身だしなみでお客に接しなければいけない商売で、其れは絶対にありませんよ」と一応此方の言い分も申しました。

 おそらく私が彼女と仲良く出掛けたことに腹を立てたのが原因だとは思いますが「其処まで言うのでしたら、止めませんしそんな嘘ばかり言う様な子で有れば私共としても雇う気もありませんので夜具等を持って出て行って下さい」と辞めてもらいました。

 其の年の春に、室蘭時代に優兄の同業者長男が理容学校に入り、その同級生の永井春雄くんが私共の店で修行したいと云うので、母親と面接に来ました。結局私共のお店で働く事に成りましたが帯広の近くで幕別と言う所の出身で、体格が良く顔の黒い人で、素朴で真面目そうな人でした。

 実際に気の聞くタイプでも器用でもは有りませんでしたが黙々と働くといった具合でしたが、昼間は学校でしたので余り役に立った訳でも無く卒業後一年のインターン終了後、国家試験を合格して幕別に帰って行きました。

 この頃はお店も、余りはやっているとは居えず、私達の家が建っている隣の人の所有地を買い取った為に桑園の伊東さん(秀兄貴の嫁の実家)よりお金を借用して居た為、お礼のつもりで店の休日には必ず優兄夫婦と私は製麺工場にお手伝いに行っておりました。そして、帰りにはその工場内に落ちている乾燥うどんの屑を貰って帰りました。

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