一人の理容師の人生を語った「自分史」です。「ヘアーサロン加納」

有る日の出来事

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有る日の出来事

 其れから暫くしてからの事ですが、私がお店の休日で夕方近くの時間帯に、一人で家に居る時に顔には記憶がない若く綺麗な方で小橋内という此処本町迄はかなり離れており、室蘭の外れに有る町で、当時はバスは通って居なく、歩くと小一時間位は掛る処で理容店を開業している矢萩さんに勤めている女の人が私の家を訪ねてきました。

 私に国家試験の学科を教えてほしいととのことでした。しかし、自分の部屋に若い女の人を入れるのは如何かなと思いお店で勉強することになったのですが、お店の奥からドアの傍で鏡の前の棚に教科書やノートを置き、色々教えていましたが大分部屋も暗く成って来たので鏡の上に着いている電球を一個付けて二人並んで勉強をしていました。

 すると、店のドアをコンコンとノックする人が居り私は「はい何ですか」とドアを開けました。すると其処に理容組合員の幹部をしている方が立って居て私の顔を見て、いきなり「女の人と暗い部屋で何をしているのか?」と私に問いただしてきました。そして、その女の人に「もう暗いので帰りなさい」と言われ、その女の人は「すみません」と言って直ぐ帰ってしまいました。

 其の頃は、組合では休日に営業してないけないと堅く言っていたので、視察に来て電気が付いていたのでカーテンは掛けているがお客さんでもしているのかと思いノックをしたのかも知れませんがあんな暗い一個の電球でお客さんの頭など刈れる訳は有りませんのに何で店をノックしたのか全くナンセンスです。

 私は勉強を教えて届ただけで店も休日ですのに何で人の店に入って来てそんな事を言われなければ成らないのかとムカっとしましたが反諭しても仕方がないと思い黙ってその人の言う成りに彼女を帰しましたが、腹の中では面自く無くひょっとしたら彼女と其処で仲良く成れたかも知れないと思うと腹が立ちました。

幸子さんの変貌

 其れから又ある日の事、幸子さんが店の営業中に来た事がありました。その姿に私は随分派手に成ったなと思いました。

 彼女は私に話が有るという事なので、お客さんも居た事もあり自分の部屋に入れました。すると彼女は私の膝に手を置きしくしく泣き始め、「如何したの?」と聞きますと、彼女は「もう私は理容師に成るのは辞めた」と言うでは有りませんか、私は改めて「如何したの?」と聞くと彼女は「国家試験には落ちるし彼女の働いている所のご主人が夜中に従業員が五人で(全員女性)寝て居る時に私の布団に入りこみ、お前が好きだと迫ってくるので蹴飛ばして逃げ次の日に辞表をだして出てきたのです」と言ってはまた泣くのです。

 私は何て言ったら良いのか迷いましたが「折角、今まで勉強したのだし貴方は頭も良い人なので国家試験はまだ受けた方が良い絶対合格するから」と励ましましたが、そんな夜這いについての話は私もまだ子供でしたので、何度か聞いた事があるけれど余り身近で聞いた事も有りませんでしたが「母恋で下田理容所と言えばかなり有名なお店ですので、そこのご主人がその様な人なら辞めて当然、勤め先は幾らでも有ると思うので気を落とさず頑張って下さい」としか言いようも有りませんでした。

 彼女は一時間位で帰りました。私のところにわざわざ来てその様な話をされ雰囲気的に抱きしめてほしそうな感じがありましたが、私としても彼女は嫌いでは有りませんでしたが、静枝さんの方が未だ好きだった事も有りましたし、昼間でお店も開いている最中でしたので、彼女を抱く気は有りませんでした・・・・。

 その後彼女は登別温泉グランドホテルの理容室に務めました。

 静枝さんといえば、会う機会が少なく成りましたが其れでも未だ縁が切れ無いと見え、休みの日等に映画を見に行きますと其処で左端と右端に離れた処から彼女を見つけ彼女も同時に私を見て、何も合い図を送った訳でも無いのに同時に真ん中に走り寄り、色々話をしてから二人で並んで映画を見て帰った事が二・三度続きました。

 又其れだけでは物足りなく、彼女の店(その時分は彼女の姉の店は浜町から梅岸町の室蘭駅より少し離れた所に移転して居た)に夜私共の店が閉まってから出かけて行き彼女の働いている姿を外から眺めに行った事が何度も有りました。(今だとストーカーという事に成りますね)。ついには「友達の家に用事が有りついでに寄った」とうそを言い、彼女と一時間位話をして帰った事が何回か有りました。

 やがて三年生も終わりに近付き学校生活も後一年と云う事で進学組は勉強に磨きが掛り進学しない生徒との格差が開いてまいりました。

 私は今一勉強に身が入らず段々学校をさぼり映画を見に行ったり、喫茶店(其の頃室蘭には一軒しか無かった)に近藤君子(仮名)さんと出かける事が多く成って居ました。

 たまに君子さんと映画を二人で観に行った時に、静枝さんが通路を挟んで隣で見ていた時は流石に驚いて其方を見ない様にしていたが静枝さんは判ったかも知れません、ひょっとすると彼女に誤解を受けたかも知れませんね、本当に悪い事は出来ないものです。

 バレー部の方は時々他のチームと試合が出来る様にまで上達はしましたが勝つまではまだまだ程遠い道のりでしたし、コーラス部の方も余り他所に行って行うまでには至りませんでした。

有る日の出来事 > コーラス部の思い出

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