一人の理容師の人生を語った「自分史」です。「ヘアーサロン加納」

移転開業した店にて

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移転開業した店にて

 室蘭栄高校を卒業した私は、札幌で移転開業をしていた兄の所へと来たのですが、(当時は、室蘭から札幌に来ると言う事は、今なら外国へ行くことより大変な事でした。)前に書きましたように来た当時は、札幌と言っても名ばかりで、田舎同然の場所で少しでも雨でも降るものなら道路はぐちやぐちゃ長靴が埋まってしまうぐらいの路になる有様。おまけに水道も電気も設備されておらず水を汲むには手押しの汲み上げポンプ・食事の炊飯・暖房等は石炭・コークス・薪等を使っておりました。

 その様な立地条件が悪い所に更に追い討ちを掛ける様に、近所の同業者には色々な嫌がらせが有り客足は殆ど無く、おまけに保健所には「あの店では汚い茶色になった蒸タオルを使用している」等と告げ口までされ、実際に保健所から調べに来ました。

 勿論、新規開店の店でそんなタオルを使用している訳も無く、逆に「綺麗なお店ですね。」と褒められた位でした。其れでも矢脹り客足は遠く、おまけに借金だらけのため食べて行くのにも困難な状態でしたので、三年間位は我々の休みに成ると伊東製麺所にお手伝いをしに行き、帰りには干し麺の折れて居るのを貰って来て、それを御飯の中に混ぜて飢えを凌いだものです。

移転した店

 この様なお店ですので、仕事をするにも大変で例えばお客さんの洗髪をする為のお湯はお店の中から見るとタイル張りの立派な洗髪所ですが、裏に回るとそれが大変で、一メートルくらいの同さの台の上に少さめの風呂桶を乗せてあり、其処からお湯がお店のカランに流れて行く仕組みに成っておりましたが、風呂桶に水を運ぶのが相当大変な作業でした。前に書きました様に、ポンプで汲み上げた水を大きなバケツに汲んで梯子を上り入れる訳です。

 途中梯子から足を踏み外し頭から水を被った事も何度か有りました。大体一日に来るお客さんの数を想定して水加減をし、今度は風呂釜に石炭を入れ火を点け丁度良い湯加減に調節しておかなければいけませんでした。又店のストーブの点火・スチーム器にも炭を入れてお湯を沸かし八十五度に設定しなくてはならなく、お店を開ける準備が大変な作業だったのです。

 又隣の佐野さんの叔母さん(男の子が二入居る未亡人)にも良く色々なモノを頂きお世話になったものです。そんな状態だったので、私が他のお店で働くことも仕方がなかった訳です。只、私としては仕方がないと言うよりは、自分の腕前が札幌でどれだけ通用するかと言う事とやはり募の腕を磨く良い機会だと思った事は事実でした。

 始めは、三越とか丸井の理髪室にも面接に行きましたが少しでも給料の高い方が家のためにも良いと考え狸小路三丁目に有った太陽と言う理髪店に決めました。

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